多胎児家庭について

50人に1人が多胎児!双子・三つ子などの家庭への子育て支援は?

多胎児の育児は1人と比べて2倍以上、心身の負担がかかるといわれています

大半の自治体が多胎児に特化した支援なしの現状

人口動態統計によると、19年に生まれた多胎児は1万7402人。
ここ20年は全出生数の2%前後で推移しています。
不妊治療で排卵誘発剤を使ったり、体外受精で一度に複数の受精卵を子宮に戻したりした場合に多胎妊娠につながる可能性がああります。

多胎児は授乳やおむつ替えの回数が多くなり、睡眠不足や産後うつに悩む親も少なくありません。
2018年には愛知県豊田市で、母親が生後11カ月の三つ子の次男を畳にたたきつけて死亡させるなど、痛ましい事件も相次いでいます。

現在大半の自治体には多胎育児に特化した支援策がなく、いずれも「単胎児を含めた子育て支援策で対応」と答えています。
また一方で、多胎育児への支援事業があっても、行政として支援が十分に行き届いていないと認識する自治体もありました。

参考資料:朝日新聞 多胎育児、自治体で支援策に差 25%「特化支援なし」

多胎児育児のリアル

「多胎育児のサポートを考える会」による『多胎児家庭の育児の困りごとに関するアンケート調査』の結果をご紹介します。
多胎児を育てていく上で困ったことなどリアルな声をお聞きください。

外出・移動が困難

・とにかく外出が大変で市の保健士さんや職員さんによく児童館や保育園園開放などに積極的に参加するよう言われますが、私1人の時はなかなか連れ出せません。
・2人が同時に泣くかもしれないと思うと不安で公共交通機関を利用できない。
・準備の段階からとにかく大変。一人の準備をしてももう一人準備している間に泣いたりどこかへ行こうとしたり。結果引きこもってしまう。

睡眠不足・体調不良

・乳児期にそれぞれ泣きを対応してたら15時間がたっていた。ご飯をどうしたか記憶がない。
・双子が交互に寝たり起きたりしている時期、いつ寝たらいいか分からず、気絶している状態が睡眠時間でした。

大変さが周囲に理解されない

・サポート種類が行政にいくつかあるようだが、そサポートを受けるため移動が困難な事に気づいていただけてない。
・一度に子育て終われていい、と言われる。一度に2人分降りかかってくるから大変なのに。

自分の時間がとれない

・日中、保育園に通わせられたら幾らか楽になるのに、専業主婦だから保育園に入園できない。多胎家庭希望すればみんな入園できる制度が欲しい。
・自分のトイレに行くわずかな時間さえもありません。我慢をしすぎて膀胱炎にもなりました。1歳半くらいの時にイライラがピークに達して、双子がいる家に鍵をかけて、マンションの下まで自分だけ飛び出してしまったことがあります。
・湯船にもつかれないし髪も乾かせない。趣味封印。自分が死んだような感覚。
・一時預かりの予約が取れない。1日2人しか枠がなく、入園まで結局一度も使えなかった。ファミサポもシッターも2人見れる人に出会えない。

各交通機関で困難な状況

●バス
・乗車拒否されたことがある。畳むことを条件にされると、荷物と子供2人とベビーカー全部を抱えること䛿できず、諦めてしまう。
・ベビーカーをたたむ間こどもたちが心配でそもそもバスに乗る気になれない。
(※そもそもバスに乗ろうと思わない/思えない、という意見多数)

●電車
・目的地がエレベーターがない駅だったので、駅から出られなくて帰宅した。
・横型ベビーカーが幅をとるため、車椅子・ベビーカースペースを使用したいが、どの車両にあるか明確に示されていないので乗れないことがある。
(※そもそも電車に乗ろうと思わない/思えない、という意見多数)

多胎家庭一日スケジュール例

・オムツ替え28回、授乳18回。その合間に搾乳・沐浴・寝かしつけ
・小さく産まれることが多い多胎児、哺乳力が弱いためにミルクを飲むにも時間がかかる
・自分ための時間どころか、ご飯やトイレ、お風呂時間もままならない

産後の生活へのサポート不足と社会の不寛容

声をあげないと、いつまでも改善されず繰り返される多胎育児の現状

慢性的な睡眠不足・人手不足

ぐっすり寝れる日が1日もありません。その状態で初めての育児。
しかも 2人分の命を守らなけれという重圧がのしかかり、気が狂う かと思いました。
何度、子どもを殺してしまうかも …と思ったことかわかりません。
近くの保育園に育児補助を頼もうとしたら 2人同時空いていませんとよく断られました。金銭的余裕もなく塞ぎ込み、ノイローゼ手前にまでなりました。
子供を投げてしまったこともあります。
多胎児ほんとうに意味がわからないくらい毎日が戦争。
気が狂うし死にたくなる。虐待する気持ちも分かってしまう。援助が必要です。

声をあげる気力も暇もないのが実情

多胎児、全体で見れば少数で、当事者にしか理解できない大変さがある。
また、本当に大変過ぎる期間数年(だと信じてる)なので、多く人精神的に相当苦しんだとしてもそれを声に出さずにじっと耐え抜いているんだと思う。
声をあげる気力も暇もないが実情。そうして問題が可視化されずにきているでないかと思う。
それに気づくのは、死亡事故や事件が起きた時なのだと思う。皆ギリギリところで耐えている。悲しい事故をこれ以上出さないためにも、日頃から継続的な支援ができる社会になることを願っている。

多胎児家庭は大変なのはなんとなく想像はつくものの、マイノリティゆえに実際に何に困り、どう支援していいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

行政支援のほとんどは単胎家庭向けのものが多く、小さい赤ちゃん子供を二人も抱えて一人の親が出来ることなど限られています。
そして親も家事育児に疲労困憊です。

助けてほしい…!
叫ばなければ気づいてもらえない。だから私たちは声をあげます。

助けてほしい…!
私たちが声をあげ、より良い結果につながった時、それはこれからも続く未来の多胎家庭への救済にもなります。
現状の、そして未来の多胎児家庭が少しでもより笑顔になるように一緒に変革の手を取って欲しいです。

上記「多胎児育児のリアル」「産後の生活へのサポート不足と社会の不寛容」は下記資料よりデータ引用をしています。

参照元:多胎児家庭の育児の困りごとに関するアンケート調査(PDF)
回答者:双子以上多胎家庭の保護者
回答数:1591件
回答期間:2019年9月23日~9月29日、10月8日~20日
実施調査:多胎育児のサポートを考える会

まずは行政支援変革の一歩として、私たちは「おもいやり駐車場の多胎児使用延長」の署名活動を始めることにしました。
どうか活動について賛同いただけましたら、ぜひ署名サイトでも賛同をお願いできればと思います。